アプローチの材料
滑りにくいモルタル金鏝こて砂利洗い出しや、小割にした丹波石・鉄平石などを使い、水がたまらないよう、勾配をつけるよう考える必要があります。
モルタル金鏝砂利洗い出し
塗ったモルタルを金属鏝で押さえ均(なら)して仕上げます。黒那智石や丹波石の屑を入れて、野趣や侘びた味わいを出した仕上げもあります。
タイル・レンガ張り
和では玄昌石タイルや瓦タイルの四半敷きが使われます。
延べ段
さまざまな形の御影石・丹波石・鉄平石・五郎太石などを乱張りや組み合わせて並べたものが見られます。
飛び石
石を離して敷きます。石は滑らないもので、歩きやすくあまり凹凸がなく、水洗いで汚れが落とせるものがいいでしょう。千鳥・雁行など別図のような打ち方があります。
アプローチの植栽
植栽はその地域の気候風土や条件に合ったものを選ぶようにしましょう。種類もあまり煩雑にならないように。大半の草木は高さを腰高までに抑え、中高木を部分部分に配します。アプローチが狭い場合は1〜2種類くらいの樹木でコンパクトにまとめ、広い場合は高さの違う木を組み合わせ間の抜けないようにします。
高い木の根元には日陰に強い木を植え、根元を保護するなど木の性質を知ったうえで植栽しましょう。湿気を好むか、乾燥地を好むかなどの知識も必要です。そして普段からの手入れ・水撒きも大切です。
アプローチの幅
アプローチの幅はあまり広くもなく狭くもなく、門から玄関までの距離に応じて75〜120㎝ 程度とします。
アプローチの敷石・石畳の両サイドには余白部分を設けて、植栽や自然石、竹垣・袖壁などで季節感・距離感・奥行き感を演出します。
敷地面積の制約などによってアプローチが設けにくい場合には、軒下などを利用してアプローチにしている例もあります。狭い敷地の中でも工夫次第で豊かなアプローチの空間をつくり出すことができます。
アプローチの考え方
和風住宅では門をくぐり玄関へ着くまでアプローチで感じる庭や建物の表情が、その家の印象を大きく左右します。門を入ったところで景色がすべて見えてしまってはつまらないもの。歩く人の目線に合わせ、玄関に近づくにつれ、建物や庭の表情が変化していくように演出します。
このため、最短距離にとるのではなく、門と玄関 が真正面にこないようずらしたり、角違いに配置します。屈曲・L字・S字・雁行を織り交ぜ、石段で高低差を付け袖垣などで奥行き感を出し、樹木などで建物が見え隠れするよう配置します。