書院の意味
格式ある和室には書院の存在は不可欠です。現在でも地方を中心に、床の間に書院を設けているのをよく見かけます。
書院は床の間や部屋の採光用として有効です。ただし6畳以下の小和室には普通の書院ではバランスが取れません。採光用に書院窓を設けたいなら、丸窓・半月窓・下地窓などを用いて数寄屋風にまとめるといいでしょう。最近ではユニットになった書院を使う例も見られます。後述の取込み書院だと、より光が入ります。
床の間に向かって左側にある書院が本勝手、右側にあるものが逆勝手とされています。
◎僧侶の書斎が起源。
◎床の間や座敷の採光として有効。
◎ただし、小和室などに書院をつくるとバランスが取れない
格式ある和室には書院の存在は不可欠です。現在でも地方を中心に、床の間に書院を設けているのをよく見かけます。
書院は床の間や部屋の採光用として有効です。ただし6畳以下の小和室には普通の書院ではバランスが取れません。採光用に書院窓を設けたいなら、丸窓・半月窓・下地窓などを用いて数寄屋風にまとめるといいでしょう。最近ではユニットになった書院を使う例も見られます。後述の取込み書院だと、より光が入ります。
床の間に向かって左側にある書院が本勝手、右側にあるものが逆勝手とされています。
書院はもともと僧侶の書斎でした。文机は造り付けで下に膝が入り、明かり障子からの光で読経・写経・学問をした場所でした。書院のもっとも古い例とされているのは、鎌倉時代の「法然上人絵殿」に描かれている一間幅だけ濡れ縁に張り出した中の机で勉強している姿です。
一方、武家屋敷では学問をする場所なので学問所と呼ばれていました。それが実用性を失い、床飾りのひとつとして室町時代頃から書院造りが生まれ、膝を入れていた場所は地袋となり棚板が載りました。
書院には、縁側・廊下に張り出した付書院(出書院・本書院・明かり書院)と、縁側に張り出さず床の間との間に明かり障子と欄間を建て込んだだけの平書院があります。付書院は正式な座敷に、平書院はやや略式の座敷に使われます。
付書院でも採光のため床の間の奥まで取り込んだものは取込み付書院(または駆込み付書院)と呼ばれます。その中間まで壁を残す例も多く見られます。同様に平書院にも取込み平書院(駆込み平書院)があります。
書院窓には通常、上部に書院欄間を付けて下には書院障子と呼ばれるやや小型の障子を建て込みます。1間を4つ割りにして、4本を引き違いまたは引き分けにします。柳格子とも呼ばれ、框・桟・組子は細めで黒塗りにするのが基本。最近の数寄屋風和室では黒塗りにしないことも増えています。竪の組子を細かく入れた竪繁障子を中心に吹き寄せや変わり組障子などが使われています。
火燈・丸型・隅切窓の障子や下地窓なども使われます。その場合、書院障子は外側で引き分けにします。
付書院で縁側・廊下に張り出した両端に書院柱を建てたものを柱建書院と呼びます。また、柱の代わりに座敷の本柱に添えて両側面全体に妻板を張ったものを妻板書院と呼びます。
書院柱は「真」では本柱の1/8、「行」では1/7程度の太さとし、小脇(本柱と書院柱の間をこう呼ぶ)を土壁や紙貼り仕上げとします。内外両側が見える妻板は、内側と外側から太鼓張りにします。
柱建書院は厳格な真の構えの書院に使われ、妻板書院は行の構えなど和らいだ書院に見られます。
書院の上部に設けられた欄間のこと。書院窓の障子と欄間の間の無目を中鴨居といいますが、書院の幅が一間またはそれ以上の場合、中鴨居の上端から鴨居までは内法の1/5とします。
書院欄間は厳格な書院では花格子としますが、菱組欄間・筬欄間・鍬形欄間・透かし欄間などが使われます。
また、板欄間に花鳥風月・紋様などを彫り込んだものや、スギ・キリ・ネズコ・ケヤキ・イチイ・エンジュ・山桜などの洒落木板の彫刻欄間も使われます。