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基礎知識襖・軒簾

軒簾の計画

軒簾の設備は建物が完成に近づいた時点で事後的に考えられることが多いのですが、そうすると軒高が低すぎたり、竪樋や鮟鱇樋の位置が悪いために取付けに困難が生じたり、また軒先の入隅で庇がつかえたりするなど、意外と支障が出てくるものです。そのため、無理なく姿よく納めるためには当初から計画しておくことが大切です。

横木まで固定して簾だけ風に吹かれるようにすると、簾の吊元の糸が早く傷むので注意が必要です。

軒簾

縁側や土庇の軒先に軒簾が掛けられます。これは夏に使う葭(あし)障子や御簾(みす)と違って、座敷にやわらかい落ち着いた雰囲気を出すために季節に関係なくかけられるものです。別名雲隠しとも呼ばれ、日差しの強い空を軒先の簾越しに見るようにしたものです。

材料は皮むき葭(あし)で編まれ、横木に簾を吊り横木は垂木から高さを調節して木・竹・金具などで吊り下げます。横木と簾は風に吹かれると一体となって前後に動くようにします。

襖の材料

枠材(縁)は上等な黒色の呂色漆や瑠璃色の溜漆塗り、ポピュラーなカシュー・クリヤラッカー、木地を生かした素材縁があります。使用木材はスギの白太材、ヒノキ・サワラ・モミなど。
 
8畳以下の小和室では大柄な絵柄や色ものは調和を欠きます。無地や薄柄などシンプルなものがいいでしょう。

襖紙は本鳥の子紙が最高級。しかし高価なので、これを模倣した新鳥の子紙があります。上等仕上げには絹糸を用い和紙で裏打ちした絹張りが施されます。

襖の種類

襖の種類には以下のものがあります。

縁付き襖
一般的な縁のある襖です。

坊主襖(太鼓張り襖・縁なし襖)
茶室や数寄屋に使われる縁なしの襖。

源氏襖(中障子襖・額障子襖)  
中上部に採光用の障子を嵌め込んだ襖。

戸襖 
片面を襖、片面を板戸にした襖。
昔は縦横に組んだ骨組の両面に何枚も和紙を貼り重ね、その上に仕上げ紙・布を貼って水墨画を描き唐紙を貼りました(本襖)。現在は段ボールや発泡プラスチック、ハニカム構造のペーパーコアなどを下地材とした量産襖が多く使われます。

襖の歴史

和室の間、または和室と他の部屋との間仕切りに使われるのが襖です。

平安時代に部屋を仕切るために使われていた襖障子がその原型で、当初は中国から伝来した唐紙を使っていたので、唐紙とも呼ばれました。室町時代以降は襖紙に無地の布や紙を貼ったものを襖、柄や絵模様のあるものを唐紙と区別して呼ぶようになりました。しかし、現在ではすべて襖と呼ばれ、障子ともはっきり区別しています。

最近は冷暖房の効率や通気性を考えて、ガラリを設けた襖も見られます。

襖・軒簾

◎ 襖ふすまには一般的な縁付き襖のほか、茶室・数寄屋に用いられる坊主襖、採光も考えた源氏襖などがある。
◎ 小和室では無地や薄柄のシンプルなものが調和する。
◎ 軒簾(のきすだれ)は事後的に考えられることが多いが、無理なく、姿よく納めるには当初から計画しておくことが大切。