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基礎知識障子

障子

◎障子には腰の有無や組子の入れ方などによりさまざまな種類がある。またガラスを組み込んだものもある。
◎和室の雰囲気により、調和する障子は異なるので注意が必要。
◎ガラスの入った障子を使う場合には、座った位置からの目線を計算する必要がある。

正面は横組腰付障子。書院には竪繁障子(倉橋建築計画事務所)

障子の誕生

障子の「障」には遮さえぎる・隔てる意味があり、「子」は物を意味する言葉です。遮り隔てる物が障子の本来の意味です。

平安時代の貴族の住宅である寝殿造りでは、広い空間の板の間を細い骨組板の両側に紙や布を張った固定式や可動式の建具で仕切って生活していました。このうち部屋を仕切るための柱間に嵌め込んだものを襖障子、視線を遮るために床に置いたものを衝立障子と呼んでいました。そして、平安時代後期に登場した絹や紙を貼って採光できる明かり障子が現在の障子の原型といわれています。

障子の分類

腰板の有無

障子は材質により、紙張り・スダレ・網張り・ガラス張りに大別できます。また、桟・框・組子・障子紙で構成されます。腰板の有無により、腰板のついた腰障子と腰板のない水腰障子に二分されます。昔は腰障子がほとんどでしたが、最近は水腰障子が増えています。

腰の高さは尺二寸(36.3㎝)から八寸(24.2㎝)までですが、腰高障子(腰2~3尺/60.6~90.9㎝)もあります。書院座敷では、書院の地袋の高さと、座敷の障子の腰板の高さを揃える方法も見られます。

組子の種類

組子は一般的には美濃紙1枚分(縦9寸×横1尺3寸)の縦サイズを基本に割り付けられていました。組子の縦の部材を竪子、横の部材を横子と呼びます。1面に横子を5~6本入れるのが基本です。組子の一般的な太さは、見付け(正面幅)7.5㎜見込み(奥行き)15㎜。格子が繁る(細かい)ほど組子は細く、少ないほど太くなります。

これに3本の竪子を組み込んだものが荒組障子。5本の竪子を組んだものが竪組障子。これらが一般的な障子の基本になります。

荒組(荒間)障子

竪子3本横子5本入れた障子。くつろいだ和室に合います。

竪組障子

竪子5本に横子5本を入れた障子。最も多く見られます。

竪繁(柳)障子

横子5本、竪子を7・9・11・13本など多く奇数本入れた障子。厳格な書院に見られ、書院障子はほとんどが竪繁障子です。

横組障子

竪子3本横子11本を入れた障子。すっきりと竪子1本だけの組子も。シンプルな現代風和室に合います。

横繁障子

横組障子のうち、横子16〜18本と繁く入れたもの。

簀戸(簾戸)

夏障子・ヨシ障子・スダレ障子とも呼ばれ、夏場の通風が目的です。ヨシや萩、細く割った竹などを編んだスダレを、障子の骨組みの内側に組み込んだ建具です。建具替えにより、夏の間だけ通常の障子と取り替えます。その場合、初夏に夏の建具を入れ、初秋に通常の障子に戻しますが、使わない建具は蔵にしまいます。自然の風から涼をとる和の暮らしを楽しむ知恵が感じられます。