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基礎知識天井の張り方

天井の張り方

◎天井にはさまざまな張り方や型がある。和室の雰囲気とバランスのとれた天井にしたい。
◎狭い和室や数寄屋風の部屋の格天井や、格式の高い部屋の舟底天井などは避け、調和をとるようにしたい。

竿縁天井

書院風や書院数寄屋を中心に一 般的に使われている天井です。釣り木で吊った竿縁の間隔は 45 ㎝程度が標準。また、茶室では正方形より横に平らな平竿縁を使います。竿縁を吹き寄せにした仕上げも。普通、竿縁は床の間と平行にし、床の間に向かうのは「床刺し」と嫌われます。

竿縁にはスギやツガの柾目の小角材が使われますが、数寄屋風や茶室天井では、スギの磨き丸太、ヒノキの錆小丸太、アカマツや香節の皮付小丸太、錆竹・煤竹・晒竹・矢竹・女竹などもよく使われます。

竿縁天井の和室(木の香前川建築)

目透かし天井

数寄屋風や数寄屋書院を中心に一般的に使われています。幅 30〜45㎝、厚さ6〜8㎜くらいの板を板の厚さぐらいの目地を取り、透かし(空け)て張る天井です。

杉板が多く使われますが、最近は無垢板を使用するのはまれで大半は杢目材や中杢材など銘木を表面化粧材とした天井用合板です。

板の間を透かして張る目透かし天井(長北工務店)

鏡天井

スギ・ヒノキ・ケヤキ・キリの柾目や中杢目の一枚板を平らに張った天井。床の間・床脇などに使われます。

格天井

格子(格縁)を天井面に升目に組んだ天井です。本来は真の書院や寺院・宮殿など格式を重んじる部屋に使われます。最近は寺院や16畳以上の広い書院座敷以外には本格的格天井は少なく、デザイン的に玄関や和室の一部にユニット商品を使って組み込む例が多く見られます。

格式の高い厳格な書院広間の「折り上げ格天井」「二重折り上げ格天井」、折り上げ格天井の中に格子を組み込んだ「折り上げ小組み格天井」「二重折り上げ小組み格天井」があります。

格式ある格天井を張った玄関(岡田建築)

平天井

水平に張られた天井の総称。目透かし・竿縁・格天井など95%以上が平天井です。多くは化粧用天井合板です。目の錯覚で中央が下がって見えるので、中央を吊り気味にして水平に見せます。同じ平天井でも、格天井は格式が高く、目透かし・竿縁は普段着といえます。

落ち天井

二つの平らな天井の組み合わせで、一方が低い場合、低い方を落ち天井といいます。茶室では草の天井にあたり、廊下・次の間・床脇によく見られます。

床の間の右側は一段低い落ち天井としている(重川材木店)

片流れ天井

傾斜した天井のことで、屋根勾配を利用していることから勾配天井とも呼ばれます。茶室や数寄屋和室には化粧垂木や木舞を使った化粧屋根裏天井も使われますが、それも勾配天井の一種です。

数寄屋建築の場合、室内から見上げる天井勾配は3/10勾配までに抑えたいところです。瓦葺・草葺屋根ではこれより急勾配となるため、垂木・野地を屋根裏に二重に設ける二重化粧屋根裏天井とします。民家の2階床板・桁をそのまま見せる天井を化粧床組天井といいます。

本棟造りの屋根勾配に合わせた片流れ天井(みすゞ設計)

舟底天井

舟底のような形をした天井です。茶室・別荘・料亭など数寄屋風の室内に使われ軽快な感じになりますが、小部屋以外の一般居室には調和しにくいようです。

天井中央に化粧垂木をあらわしたものと、平板で羽重ね張りにしたものがあります。舟底天井は比較的勾配の緩やかなものをいい、急勾配の天井は別に、屋形天井と呼ばれます。傘天井・寄棟天井・方形天井・台形天井などはこの天井の変形といえます。

舟底天井で仕上げた2階の小和室(早建)

折り上げ天井

天井を途中から中央に向けて折り上げ、高くした天井。社寺建築などに見られる最も格式の高い真の天井の代表です。現在は厳格な書院建築に使われます。折り上げが二重になったものは二重折り上げ天井と呼ばれます。